アデノウイルスのウイルス学的な知見と感染症予防に関連する先行研究の紹介

プール熱を引き起こすことでも知られるアデノウイルスですが、オゾンによってアデノウイルス感染症を予防することができるのでしょうか
風邪症候群と関連するウイルスの中で、メジャーなウイルスであるアデノウイルスが引き起こす感染症、アデノウイルスのウイルス学的な知見をご紹介。

オゾンによるアデノウイルスの感染症予防に関連する先行研究を紹介させていただき、オゾンがアデノウイルス感染症の予防に効果を示すのか解説させていただきます。

抗菌・抗ウイルス図

オゾン(O₃)とは酸素(O₂)の同位体で、酸素にもう一つOが結合した化学式O₃で表されます。

オゾンは発生器で容易に発生でき、抗菌・抗ウイルス効果を示し、すばやく空気中の酸素に戻ることができるため、除菌と消毒ができる地球にやさしい抗菌物質として注目されています。

オゾン水とはオゾンが溶けこんだ水です。オゾン水のオゾンは酸化によって除菌した後に水に戻ることができるので、こちらも人体への害を考えずに使うことができる消毒・除菌薬として利用されています。

アデノウイルスは風邪を引き起こすウイルスとして知られていますが、オゾンによって死滅できることが報告されています。

アデノウイルス概論

アデノウイルス図

出典:Wikipedia

アデノウイルスの構造。正20面体の頂点に位置する12個のペントンカプソマー(スパイク,1)と、各面に配置された総数240個のヘキソンカプソマー(2)とで構成されたカプシド、およびそれに覆われたウイルス核酸(線状二本鎖DNA, 3)からなる。

アデノウイルスは二本鎖のDNAウイルスでライノウイルスと並んでかぜ症候群の原因ウイルスとして知られています。
adenoは日本語で腺を意味し、adenovirusは扁桃腺(adenoid)由来の細胞から単離されたことにその名を冠しています。
ヒトへの感染として最も頻度が高いのは上気道ですが、その他消化器系や眼科系、中枢神経系への感染も確認されています。

アデノウイルスのウイルス学的特徴

アデノウイルスイメージ画像

アデノウイルスは二本鎖DNAウイルスでカプシドは正二十面体をしており、240個のヘキソンと呼ばれる蛋白質が3つずつでユニットを作り構成しています。エンベロープは持っていません。

各頂点からはそれぞれ長い突起(図中緑)が出ている構造を取っています。感染の際にはこの突起を用いて標的細胞の受容体分子と結びつきcます。これまで発見されたアデノウイルスが感染に用いるヒトのメインな受容体分子としてはCAR(coxsackie and adenovirus receptor)とCD46が挙げられます。

ARは機能未知で様々な細胞に発現しているとされており、CD46は免疫系の補体反応と呼ばれる反応に関与する因子で、麻しんウイルスの受容体としても知られています。このあたりの受容体の話やウイルスの構造的や蛋白質構造そのものに興味がある方は過去記事(オゾンとロタウイルス、オゾンとウイルス、なぜオゾンが細菌とウイルスの両方に効果があるのか)を御覧ください。

ウイルスイメージ画像
研究イメージ画像
ヨーテボリ大学の外観

画像:Wikipedia(ヨーテボリ大学)

オゾンによるアデノウイルスの予防には一定の効果があるものの、アデノウイルス自体が感染予防が難しいウイルスにあたりそうです。
しかしながら、他の消毒・殺菌方法と合わせてオゾンを使用することで間違いなくアデノウイルス感染の予防につながるので、オゾンあれば憂いなしとも言えるのではないでしょうか。

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